工場・事業所の省エネ対策は、「何から手をつければよいか分からない」という段階で止まりやすい領域です。光熱費の請求書を見れば総額は分かりますが、どの設備がどれだけエネルギーを使っているのかまでは読み取れません。
出光エナジーソリューションズのエネルギー診断(省エネ診断)は、専門スタッフが事業所や工場を訪れ、エネルギーの使用状況を把握したうえで、省エネ・CO2削減のための運用改善や機器更新の費用対効果を提示するサービスです。
この記事では、エネルギー診断で把握できること、ニーズに合わせて選べる2つの診断プラン、申込から結果報告までの流れと補助金の活用方法を紹介します。
この記事でわかること
工場・事業所の省エネ対策が着手しにくい理由
省エネ対策が進まないのは、取り組みの必要性が乏しいからではありません。着手の判断に必要な情報を、社内だけで十分に把握することが難しいためです。
光熱費は見えても、どこで使っているかが見えない
電気や燃料の請求書から分かるのは、拠点全体の使用量と金額です。設備や工程ごとのエネルギー使用量は、個別に計測していなければ把握できません。
削減余地の大きい設備を特定できるかどうかが、対策の優先順位を左右します。優先すべき設備を特定できないまま対策を進めると、 効果の小さい設備に手間をかけることになりかねません。
設備更新は費用対効果の説明が必要
高効率な設備への更新は、投資判断を伴います。削減できるエネルギー量と、投資回収の見通しを示せなければ、社内の合意を得るのは容易ではありません。
運用の見直しのように費用をかけずにできる対策と、設備更新のように投資を伴う対策を分けて整理できると、優先順位を整理しやすくなります。 。
エネルギー診断で把握できることと特徴
エネルギー診断は、専門スタッフが事業所や工場に入り、エネルギーの使用状況を把握し、その結果をもとに改善策を提案するサービスです。 診断を通じて得られる情報は、次の3つに整理できます。
エネルギーの使用状況を把握する
診断では、事業所や工場のエネルギー使用状況を専門スタッフが確認します。工場・事業所全体だけでなく、コンプレッサ診断、電気診断、熱診断など、設備や用途別の切り口でも診断できます。 どの設備がどのようにエネルギーを使っているのかを、運転状況も含めて把握するのが出発点です。
運用改善と機器更新の提案を受ける
把握した使用状況をもとに、省エネやCO2削減のための具体的な運用改善の提案を受けられます。あわせて、機器を更新した場合の費用対効果も提示されます。
「どの設備に、どの順番で、どの程度投資すると、エネルギー使用量やコストをどれだけ削減できるのか」という形で比較できるため、社内での投資判断に活用しやすくなります。
全体診断よりも短時間で実施できる
従来の工場・事業所全体の診断と比べて、短時間で診断を実施できる点も特徴です。コスト削減につながる設備の運用改善や、費用対効果の高い高効率設備への更新など、省エネにつながる情報を得られます。
診断を受ける流れと補助金の活用
診断は申し込みから結果報告まで、5つのステップで進みます。あわせて、条件を満たせば診断費用に補助金を活用できる場合があります。
申込から結果報告までの5ステップ
- お申し込み
- 診断内容と日程の調整
- 契約の締結
- 診断の実施
- 診断報告会での結果報告
現地で診断を実施したあと、診断報告会で結果の報告を受けます。報告会では省エネに関する提案を受け、自社で取り組みを検討する流れです。診断して終わりではなく、その後の検討までがひとつの区切りになっています。
一定の要件を満たす中小企業は補助金を活用できる
エネルギー診断は、中小企業の方であれば補助金を活用できる場合があります。対象となるかどうかは、業種ごとに定められた資本金または従業員数の条件で判定されます。補助金を使った診断の案内は、省エネ診断の特設サイトで確認できます。
| 区分(業種等) | A. 資本金の額又は出資の総額 | B. 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業、その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
表のAまたはBのいずれかの条件に該当すれば、対象となります。会社法上の会社に該当しない場合は、前年度または直近1年間のエネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl未満の事業所であれば対象です。
対象条件に当てはまらない場合
中小企業者に該当し、かつ年間のエネルギー使用量が1,500kl以上の事業所であっても、受診は可能です。その場合は、「みなし大企業に該当しないことの宣誓書」を提出する必要があります。自社が対象になるか判断に迷う場合は、申し込み前に確認しておきましょう。
ニーズに合わせて選べる2つの診断プラン
エネルギー診断には、目的の異なる2つのプランが用意されています。どちらを選ぶかは、エネルギー使用状況をどの程度まで詳細に把握したいかによって選び方が変わります。
ウォークスルー診断|まず全体像をつかみたい場合
ウォークスルー診断は、工場・事業所全体を対象に、設備の使用状況を確認するプランです。光熱費を下げたい方、省エネ対策を始めたいが何から手をつけるべきか分からない方、すぐにできる省エネの取り組みを知りたい方に向いています。
短時間で診断できること、費用をかけない運用改善を提案できること、省エネの取り組みの立案まで支援できることが特徴です。費用は工場・事業所の規模によって変わり、ウォークスルー診断には、事業所の規模などに応じた複数の料金区分があります。
※以下の費用は補助金活用時の金額です。
| 診断プラン | 費用(税込) | 年間エネルギー使用量 | 延床面積 | 事業所の規模 |
|---|---|---|---|---|
| 300kl診断プラン | 16,016円 | 300kl以下 | 1,000㎡以下 | ― |
| 1,500kl診断プラン | 22,022円 | 300kl超 〜 1,500kl以下 | 1,000㎡超 〜 2,000㎡以下 | 2棟以上又は4階建て以上 |
| 3,000kl診断プラン | 28,028円 | 1,500kl超 〜 3,000kl以下 | 2,000㎡超 〜 5,000㎡以下 | 3棟以上又は7階建て以上 |
年間エネルギー使用量、延床面積、事業所の規模のいずれか1つを満たしていれば、そのプランを利用できます。すべての条件を満たす必要はありません。
IT診断|データを活用して省エネ対策を進めたい場合
IT診断は、計測機器を用いて事業所の設備・プロセスごとのエネルギー使用状況を見える化し、分析したうえできめ細かな改善提案を行うプランです。使用状況を数値化して詳細に分析しエネルギーのムダを削減したい方、設備投資を含めた中長期的な省エネ計画を検討している方、データに基づいた精度の高い省エネ対策を実施したい方に向いています。
費用は実施内容に応じて設定されます。分析の範囲を広げるほど負担額は増えるため、必要な範囲を整理してから相談すると、プランを選びやすくなります。
2つのプランの使い分け
まず拠点全体の傾向をつかみ、優先順位をつけたいのであればウォークスルー診断が向いています。特定の設備や工程まで踏み込み、投資計画に結びつけたいのであればIT診断が適しています。ウォークスルー診断で全体像をつかんだうえで、対象を絞ってIT診断に進むという方法もあります。
※以下の費用は補助金活用時の金額です。
| 診断プラン | 診断の範囲 | 向いているケース | 費用の目安(税込) |
|---|---|---|---|
| ウォークスルー診断 | 工場・事業所内のすべての設備 | 全体像をつかみたい場合 | 16,016円 〜 51,051円 |
| IT診断 | 計測機器を用いた設備・プロセスごとの分析 | データで詳細に分析したい場合 | 25,000円 〜 65,000円程度 |
診断の結果をどう活かすか
診断では、エネルギー使用状況の分析結果と改善提案が得られます。 ここから実際の削減効果につなげるには、着手の順番を決める必要があります。
運用改善から着手する
費用をかけずにできる運用改善は、着手のハードルが低い対策です。ウォークスルー診断では、すぐにできる省エネの取り組みも提案されるため、設備投資の判断を待たずに始められます。運用改善で削減できた分を実績として示せると、次の設備更新の検討も進めやすくなります。
設備更新やほかのソリューションと組み合わせる
設備更新を検討する段階では、エネルギー診断の結果を軸に、複数の対策を組み合わせて検討できます。熱回収式電動エアコンプレッサのような高効率設備への更新に加え、屋根や窓ガラスから入る熱を抑える放射冷却素材ラディクール、燃料や電力そのものを切り替える出光リニューアブルディーゼル(IRD)、出光CO2フリー電力「グリーンプラス」などが候補になります。
排出量の算定まで踏み込みたい場合は、CO2可視化サービスで、自社の事業活動に伴う排出からサプライチェーン全体の排出まで(Scope1〜Scope3)を可視化し、削減目標の設定に進む方法もあります。こうした対策についてワンストップサポートとして一連で相談できる点が、出光エナジーソリューションズの特徴です。
よくある質問
Q. エネルギー診断では何をしてもらえますか?
A. 専門スタッフが事業所や工場のエネルギー使用状況を把握し、省エネやCO2削減のための具体的な運用改善、機器更新をした場合の費用対効果を提示します。コンプレッサ診断、電気診断、熱診断といった設備単位の切り口でも実施されます。
Q. 診断にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. ウォークスルー診断は16,016円から51,051円まで(税込)で、工場・事業所の規模によって変わります。IT診断は実施内容に応じて25,000円から65,000円程度(税込、最大220,000円)です。(補助金活用時)
Q. ウォークスルー診断とIT診断はどう違いますか?
A. ウォークスルー診断は工場・事業所内のすべての設備を対象に、短時間で全体像をつかむプランです。IT診断は計測機器を用いて設備・プロセスごとの使用状況を数値化し、分析したうえできめ細かな改善提案を行うプランです。
Q. 補助金はどのような会社が使えますか?
A. 業種ごとに定められた資本金または従業員数の条件のいずれかに該当する中小企業者が対象です。会社法上の会社に該当しない場合は、前年度または直近1年間のエネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl未満の事業所であれば対象となります。
Q. 診断を受けたあとは何から始めればよいですか?
A. 費用をかけずにできる運用改善から着手すると進めやすいでしょう。診断報告会で受けた提案のうち、すぐにできる取り組みを実行し、そのうえで費用対効果の高い高効率設備への更新を検討します。
まとめ
工場・事業所の省エネ対策が止まりやすいのは、削減余地がどこにあるのかを見極められないためです。エネルギー診断は、使用状況の把握から運用改善の提案、機器更新の費用対効果の提示までを一連で行うため、着手の順番を決める材料が揃います。
まず全体像をつかみたい場合はウォークスルー診断、データに基づいて詳細に分析したい場合はIT診断が向いています。条件を満たせば補助金も活用でき、診断結果を踏まえた設備更新や燃料・電力の切り替えまで、出光エナジーソリューションズに一連で相談できます。
この記事のまとめ
- ✓省エネ対策が進まないのは、設備ごとの使用状況が見えず優先順位をつけられないため
- ✓エネルギー診断では使用状況の把握、運用改善の提案、機器更新の費用対効果が得られる
- ✓全体像をつかむならウォークスルー診断、データで詳細に分析するならIT診断
- ✓中小企業は補助金を活用でき、診断後は運用改善から着手する


