工場・倉庫・各種施設の暑さ対策には、日射を反射する遮熱塗料、建物内への熱の伝わりを抑える断熱材、日射を反射しながら吸収した熱を外へ放出する放射冷却素材などがあります。方式によって働く場所と熱への作用が異なるため、温度低下の数値だけでなく、施工対象や現場条件まで含めて比較することが大切です。
本記事では、放射冷却素材ラディクールと、遮熱・断熱系の製品A・製品B・製品Cを取り上げ、仕組み、施工対象などを整理しました。
この記事でわかること
- 遮熱・断熱・放射冷却の仕組みの違い
- 4製品の特徴と施工できる場所
- 屋根・ガラス・屋外設備に合う選び方
暑さ対策製品の種類と比較
暑さ対策製品は、大きく「遮熱」「断熱」「放射冷却」に分けられます。遮熱は日射を反射し、断熱は材料を通る熱を伝わりにくくします。放射冷却は日射の反射に加え、吸収した熱を赤外線として外へ放出する仕組みです。
ここからは、放射冷却素材ラディクールと製品A〜Cの特徴を順に確認します。公表値や施工事例は特定の試験・使用条件に基づくため、実際の効果や耐久性は、天候、下地、施工方法、建物の構造などによって異なります。
放射冷却素材ラディクール
放射冷却素材ラディクールは、遮熱と放射冷却を組み合わせた素材です。近赤外線を含む日射を高い割合で反射するとともに、反射しきれずに吸収した熱を電磁波(赤外線)として放出します。放出された赤外線のうち、特定の波長帯は大気に吸収されにくく、大気圏外へ抜けやすいため、電力を使わずに表面の温度上昇や蓄熱を抑えられます。
製品形態には塗料とフィルムがあり、塗料は工場・倉庫などの屋根や屋外設備の外面に、フィルムはビル・工場・商業施設などのガラス面に施工します。施工する場所に合わせて形態を選べる点が特長です。
◎ここがポイント
- 日射を反射し、吸収した熱を赤外線として外へ放出する
- 塗料は屋根・屋外設備、フィルムはガラス面への施工に向く
- 日射条件、設置環境、対象面の材質を確認する
製品A(遮熱・断熱塗料)
製品Aは、特殊セラミックを含む屋根用の遮熱・断熱塗料です。日射を反射して屋根表面の温度上昇を抑え、室内へ伝わる熱を減らすことを主な目的としています。既存屋根へ塗装でき、塗膜の長期耐久性を重視したい場合の選択肢になります。日射反射が主な役割ですが、塗膜が遠赤外線を放散する作用も示されています。
◎ここがポイント
- 特殊セラミックを利用して日射を反射する
- 強い日射を受ける屋根からの入熱を抑えたい場合に向く
- 下地・劣化・防水状態を確認する
製品B(高日射反射率塗料)
製品Bは、上塗りと専用下塗りの二段構えで、日射に含まれる赤外線を反射する「ダブル反射」設計の高日射反射率塗料です。直射日光を受ける屋根の温度上昇を抑えることを目的としており、一部のグレードはJIS K 5675に適合しています。色や下地によって反射性能と塗装仕様が異なるため、希望色と屋根の状態を確認して選びます。
◎ここがポイント
- 上塗りと専用下塗りで日射を反射する
- 日射反射性能を重視する屋根に向く
- 希望色と下地に合う塗装仕様を確認する
製品C(高性能断熱材)
製品Cは、微細な気泡構造によって熱を伝わりにくくするボード系の高性能断熱材です。熱伝導率は0.020W/(m・K)以下で、屋根や壁を通る熱流を抑え、建物全体の断熱性能を高めます。屋根外表面の温度を直接下げる材料ではありませんが、夏冬を通じた空調負荷の軽減に役立ちます。
◎ここがポイント
- 微細な気泡構造で熱の伝わりを抑える
- 建物全体の断熱性を高めたい場合に向く
- 構造内部への施工可否と防湿・結露対策を確認する
4製品の性能を一覧で比較
ここまで個別に見てきた4製品について、熱への働き、性能や耐久性の目安を整理します。
| 比較項目 | ラディクール (放射冷却素材) |
製品A (遮熱・断熱塗料) |
製品B (高日射反射率塗料) |
製品C (高性能断熱材) |
|---|---|---|---|---|
| 熱への働き | 反射し、吸収した熱を外へ放出 | 反射して温度上昇を抑える | 反射して温度上昇を抑える | 熱の伝わりを抑える |
| 性能の目安 | 日射反射率94.4%(塗料タイプ) | 日射反射率92.2% | 一部JIS K 5675に適合 | 熱伝導率0.020W/(m・K)以下 |
| 耐久の目安 | 塗料10〜14年/フィルム5〜7年 | 10年以上 | 年数非公開 | 25年後までの推定値 |
| メンテナンス | 使用環境で変動 | トップコート更新を検討 | 再塗装時期を仕様書で確認 | 施工後の環境を確認 |
目的・施工対象別の選び方
製品は、どの方式が一律に優れているかではなく、どこから入る熱を抑えたいか、どこに施工できるかで選びます。ここでは、屋根、ガラス面、屋外設備に分けて考え方を整理します。
屋根
広い屋根や直射日光を長時間受ける屋根では、外表面に施工する塗料が候補になります。放射冷却塗料ラディクールは日射反射と熱放出、製品A・製品Bは日射反射によって、屋根表面の温度上昇と室内への入熱を抑えます。既存屋根へ施工する場合は、屋根材、既存塗膜、錆、劣化、防水状態を確認してください。構造部分を改修できる場合は、製品Cのような断熱材を屋根裏や天井へ組み込む方法もあります。
参考として、ラディクールを約4,250㎡の倉庫屋根に施工した事例では、最高気温平均が1.0℃高い測定期間との比較で、倉庫内実測平均温度が35.0℃から31.7℃、最高温度が40.0℃から33.0℃に低下しています。特定条件での結果であるため、導入時は対象施設に近い条件で効果を見積もることが大切です。
ガラス面
窓からの日射熱を抑えたい場合は、放射冷却フィルムラディクールが候補です。ビル・工場・商業施設などのガラス面に施工し、日射反射と放射冷却によって窓面の温度上昇を抑えます。フィルムの種類によって光の透過性が異なるため、必要な採光、ガラスの種類、屋外側へ施工できるかを確認します。
屋外設備
直射日光を受ける制御盤や電気設備などでは、外面に放射冷却塗料ラディクールを施工し、日射の反射と熱の放出によって表面温度の上昇や蓄熱を抑える方法があります。複雑な形状にも施工しやすい一方、設備内部で発生する熱を直接排出するものではありません。内部発熱が大きい場合は、通風や排熱設備も組み合わせます。
よくある質問
Q. 遮熱塗料は効果がないのですか?
A. 遮熱塗料は日射を反射し、屋根表面の温度上昇を抑えます。ただし、色、下地、塗膜の状態、日射、建物の断熱・換気条件などによって結果は変わります。製品の公表値だけでなく、対象施設に近い条件の施工事例も確認しましょう。
Q. 遮熱と断熱の違いは何ですか?
A. 遮熱は日射を反射して表面の温度上昇を抑える働き、断熱は材料の中を通る熱を伝わりにくくする働きです。断熱材は屋根や壁から室内へ伝わる熱を抑え、建物全体の断熱性能を高めます。
Q. ラディクールはなぜ電力を使わずに熱を逃がせるのですか?
A. 日射を反射しながら、吸収した熱を電磁波(赤外線)として放出するためです。放出された赤外線のうち、特定の波長帯は大気に吸収されにくく、大気圏外へ抜けやすいため、表面に熱がこもるのを抑えます。
Q. ラディクールの塗料とフィルムはどのように使い分けますか?
A. 放射冷却素材ラディクールの塗料は屋根や屋外設備の外面、フィルムはガラス面への施工に向いています。対象面の材質や形状、必要な採光、施工環境を確認して使い分けます。
Q. 既存の屋根にも後付けできますか?
A. 塗料タイプは、屋根材や既存塗膜の状態を確認し、必要な下地処理を行うことで既存屋根へ施工できます。断熱材は構造内部への施工が必要になるため、改修範囲と工期を含めて検討します。
まとめ
暑さ対策製品は、遮熱・断熱・放射冷却で熱への作用と施工対象が異なります。遮熱塗料は日射を反射し、断熱材は屋根や壁を通る熱を伝わりにくくします。放射冷却素材ラディクールは日射反射に加えて、吸収した熱を赤外線として放出し、塗料は屋根・屋外設備、フィルムはガラス面に施工できます。
導入時は、施工する場所、抑えたい熱、改修の可否を先に整理し、現場条件に合う方式を選びましょう。内部発熱が大きい施設では、資材だけで対処せず、換気・空調・排熱設備との併用も検討してください。
この記事のまとめ
- ✓遮熱・断熱・放射冷却は、熱への作用と施工対象が異なる
- ✓放射冷却素材ラディクールは塗料を屋根・設備、フィルムをガラス面に施工できる
- ✓遮熱塗料は日射を反射し、断熱材は熱の伝わりを抑える
- ✓屋根・ガラス・屋外設備のどこに施工するかを起点に選ぶ

